心電図検査で分かること
心臓

心電図検査で分かること

健康診断や手術前の検査、あるいは突然の胸の痛みなどで、心電図検査を受けたことがある人は少なくないでしょう。 けれども、心電図からどれほど多くのことが分かるのかは、意外と知られていません。 

心電図は、ほんの短時間で心臓の電気的な活動を記録できる検査です。医師は、その波形から得られる情報を日常診療に役立てています。 

一見すると、小さなトゲや線が並んでいるだけのように見えるかもしれません。しかし実際には、そこからさまざまな情報を読み取ることができます。では、心電図検査では一体何が分かるのでしょうか。

本記事ではその点に加え、医師はどのように心電図を解釈しているのか、なぜ心電図による診断が心臓病の発見に重要な役割を果たすのかについても説明します。

心電図とは何か

心電図検査は、現代医療で最も広く用いられている心臓の検査の一つです。心臓が一拍ごとに発生させる電気信号を記録する検査であり、その電気活動を波形として可視化します。

米国国立心肺血液研究所によると、心電図検査は、心臓の電気系がどの程度正常に働いているかを評価するための基本的かつ非侵襲的な検査です。また、心血管疾患を早期に見つけるうえで欠かせない診断手段とされています。 

心電図のしくみ

米国国立衛生研究所によれば、心臓の洞房結節という部位から電気信号が発生し、それが心房から心室へと広がることで収縮が起こります。この電気的な変化は皮膚の表面からも測定することができます。

心電図検査では、胸部、両腕、両脚に電極を装着し、12誘導心電図として心臓の活動を12方向から記録します。

これにより、心拍のリズムや速さ、電気信号の伝わるタイミングが分かり、具体的にはP波、QRS波、T波といったパターンとして表されます。

  • P波:心房の収縮を表し、上の部屋から下の部屋へ血液を送り出す準備をしている状態
  • QRS波:心室の脱分極を表し、心室(下の部屋)が収縮して肺や全身へ血液を送り出している状態
  • T波:再分極を表し、心室が次の拍動に備えてリラックスしている過程

心電図検査が広く用いられている理由

心電図検査が医療現場で広く利用されているのは、次のような利点があるためです。

  • 検査時間が短く痛みがない
  • 体に傷をつけない非侵襲的な検査である
  • その場で結果を確認できる
  • 救急から日常診療まで幅広い場面で利用できる

心電図のST値

ST値とは何か

ST値とは、心室が収縮してから回復するまでの間を示す心電図上の区間です。米国国立衛生研究所は、ST値の変化が急性または重篤な心血管イベント、例えば心筋梗塞などを検出するうえで重要であると述べています。

異常なST値が示唆するもの

  • ST上昇:心筋梗塞(特にST上昇型心筋梗塞)を示している可能性があり、緊急対応が必要な状態
  • ST低下:心筋への血流低下や虚血を意味している可能性
  • 正常なST値 :心筋の回復過程が正常に進んでいることを示す所見

心電図で分かること

心電図は、心臓のリズムや構造、血流の異常、急性・慢性の心疾患を示す変化を可視化することで、医師が心臓の状態を評価するうえで重要な手がかりを与えます。 

心電図から医療者が把握できる主な内容は次の通りです。

  • 心拍数が速すぎるか遅すぎるか
  • 心拍リズムが規則的か不規則か
  • 心筋の一部に損傷があるかどうか
  • 心臓への血流低下の有無

心電図で分かる病気の種類

米国心臓協会は、心電図による診断が、不整脈、心筋症、冠動脈疾患、心筋梗塞、心不全、弁膜症などの検出に用いられているとしています。心電図検査の大きな利点の一つは、特徴的な波形パターンから具体的な病名に結びつきやすい点です。

例えば、次のような状態が挙げられます。

  • 心房細動(心房の波形が不規則になる)
  • 心筋梗塞(ST上昇)
  • 心室頻拍
  • 心外膜炎(びまん性のST上昇)
  • ブルガダ症候群(特徴的なST変化)
  • 房室ブロックなどの伝導障害(心ブロック)
  • 左心室肥大

心電図だけで画像検査や血液検査を代替することはできませんが、診断の方向性を定めるうえで非常に強力な手がかりになります。疾病対策センターによれば、心拍リズムの異常を早期に発見することで、脳卒中や心筋梗塞などの合併症リスクを大きく減らせる可能性があります。 

心電図では分からないこと

心電図による診断は非常に有用ですが、分からないこともあります。 各国の規制当局などは、心電図はあくまで他の検査結果と合わせて解釈し、診断には複数の情報を組み合わせるべきだと指摘しています。 

心電図では次のようなことは分かりません。

  • 冠動脈の狭窄や閉塞の程度
  • 心臓のポンプ機能の強さ
  • 心エコー検査や心臓カテーテル検査(血管造影)の代替となる情報 

したがって、心電図の所見は必ず臨床的な診察所見と組み合わせて評価し、必要に応じて追加の検査を行うことが重要です。 

心電図検査が心臓の健康に重要な理由

心電図から何が分かるかを理解することは、自分の心臓の症状を軽く見ず、適切に受け止めるうえで役立ちます。心電図は次のような場面で非常に重要な診断的役割を果たします。

  • 救急診療での迅速な評価
  • 日常的な心臓の健康診断
  • 既に知られている心疾患やリスクを持つ人の経過観察
  • 特定の薬剤が心臓に与える影響の評価

適切に実施され、正しく解釈された心電図は、命を救うことにもつながる検査です。 お薬ショップオンライン薬局などで心臓病に使われる薬について確認する人もいますが、その前提となる正確な診断がなければ適切な治療法は選べません。 

まとめ

心電図は、単なる検査の一つにとどまりません。ST値の解析から、特定の心電図パターンに基づく病名の推定に至るまで、心臓のリズムや構造、血流の状態について欠かせない情報を提供します。適切な心電図診断により、医療者はより正確かつ迅速な判断を下し、患者の予後を改善できる可能性があります。

心電図検査がこれほどまでに重要かつ有用であることを踏まえると、心血管医療の現場で世界中に広く普及し、中心的な役割を担い続けている理由も理解できるでしょう。

よくある質問

1.心電図検査で何が分かりますか。

心電図検査では、心拍数がどのくらいか、リズムが規則的かどうか、心臓への血流低下の兆候、心筋の損傷の有無、不整脈や過去の心筋梗塞など特定の心疾患の有無などが分かります。

2.心電図検査は痛みや危険性がありますか。

いいえ。心電図は痛みのない非侵襲的な検査です。皮膚に電極を貼り付けて電気活動を記録しますが、電気ショックを受けることはなく、安全に実施できます。

3.心電図でどのような病気が分かりますか。

心電図による診断は、心房細動、伝導障害(心ブロック)、心筋虚血、心筋梗塞、さまざまな不整脈などの発見に役立ちます。ただし、確定診断には追加の検査が必要となる場合があります。

4.心電図でST値が異常だと言われた場合、何を意味しますか。

ST値の異常は、心臓への血流が不足している、あるいは心筋に損傷が起きている可能性を示します。STの上昇または低下が見られる場合は、緊急の医学的評価が必要となることが多いです。

5.心電図が正常なら、心臓に問題がないと言えますか。

そうとは限りません。安静時の心電図に異常が見られない場合でも、すべての心疾患が否定できるわけではありません。中には心電図に変化として現れにくい病気もあり、症状やリスクに応じて、運動負荷試験や心エコー検査など、さらなる検査が必要となることがあります。

免責事項

本コンテンツは情報提供のみを目的としており、専門的な医療上の助言、診断、治療に代わるものではありません。心臓の健康状態や心電図の結果について不安や疑問がある場合は、必ず医師などの有資格の医療専門職にご相談ください。

参考文献

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アム・ムラリーダラン博士は、薬学実務分野における学術・臨床・研究の知見を持つ薬剤師 であり、シニア・ヘルスケアコンテンツライターです。 現在は「お薬ショップ」運営会社 に勤務し、臨床分野で培った専門知識を活かしながら、戦略的なメディカルライティングを 通じて、 正確性・倫理性・可読性を兼ね備えたヘルスケアコンテンツの制作に携わってい ます。