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体温調節とは?体の温度バランスが保たれるしくみ

体温の調節について、日常的に意識する人は多くありません。

しかし実際には、私たちの体の中でこの働きが絶えず休むことなく続いています。

冷たい冬の外気に触れたときも、強い夏の日差しの下で過ごすときも、体は静かに、しかし絶え間なく体温を一定に保とうと働いています。この仕組みがなければ、わずかな温度変化でも、体の機能を正常に保つことは難しくなってしまうでしょう。

興味深いのは、人の体には「体温調節」と呼ばれるしくみが備わっており、自動的に体温を調整しているという点です。周囲の寒さや暑さを感じ取ると、その情報が脳に伝わり、汗をかく、震える、血流を変えるといった反応が引き起こされ、体温が安定するよう働きます。これらはすべて、意識しなくても自然に行われています。

この記事では、体温調節とは何か、その基本的なしくみと、安定した体内温度を保つために脳や自律神経がどのような役割を果たしているのかを解説します。

体温調節とは何か、その重要性

体温調節とは、体が自らの内部の温度を、安全で安定した範囲に保とうとする働きのことです。健康な成人の平熱は、一般的に36~37℃ほどで、1日の中でもわずかに変動します。

この安定性が重要なのは、多くの生体反応が温度に影響を受けるためです。たとえば、体内の化学反応をコントロールしている酵素は、限られた温度の範囲で最もよく働きます。体温が高すぎたり低すぎたりすると、こうした反応は遅くなったり、効率が低下したりするおそれがあります。

体は体温調節によって、このバランスを保っています。寒いときには十分な熱を作り、暑くなり過ぎたときには熱を逃がすことで、体温を一定に保とうとします。

体温調節は「恒常性(ホメオスタシス)」と呼ばれる仕組みの一部でもあります。これは、外部環境が変化しても、体内環境を一定に保とうとする体の働きです。

による体温調節の仕組み

体温調節の中心的な役割を担っているのが脳です。なかでも、視床下部と呼ばれる小さな領域が重要な働きをしています。ここは、体温を常に見張る「体内のサーモスタット」のような役割を果たしています。

皮膚にある温度センサーが寒さや暑さを感じ取ると、その情報は視床下部へ送られます。脳はこの情報を、体にとって理想的な温度と照らし合わせ、差を埋めるための反応を引き起こします。

例えば、

  • 体が熱くなり過ぎたときには、汗をかくよう指令を出したり、皮膚の近くの血管を広げたりします。
  • 体が冷え過ぎたときには、熱が逃げにくい状態にし、体内で熱を作り出す反応を促します。

こうした仕組みによって、周囲の環境が変化しても、体内の温度はある程度一定に保たれています。

自律神経による体温調節の仕組み

体温調節には自律神経系も大きく関わっています。自律神経系は、心拍、消化、体温調節など、多くの無意識に行われる体の機能をコントロールしている仕組みです。なかでも、交感神経は体温を調整する際にとくに活発になります。

体が寒さを感じると、交感神経は次のような反応を引き起こします。

  • 皮膚近くの血管を収縮させ、熱が逃げるのを抑える
  • 代謝を高めて、体内で熱を生み出す
  • 筋肉を収縮させて「震え」を起こす

震えは、短時間で熱を生み出すための、体に備わった効率的な方法の一つです。筋肉が急速に収縮すると、その際に生じるエネルギーが熱として放出され、体温を保つ助けになります。

このような自律神経による体温調節のメカニズムによって、体は周囲の環境の変化に素早く対応しています。

暑い環境・寒い環境における体温調節の仕組み

人間の体は、周囲の環境に応じて、体温を保つためのさまざまな方法を使い分けています。

体が熱くなり過ぎたとき

体温が上昇すると、体温調節中枢が体を冷やすための反応を起こします。その代表的なものが発汗です。汗腺から皮膚の表面に水分が分泌され、この水分が蒸発するときに熱が奪われ、皮膚の温度が下がります。

もう一つの反応が血管拡張です。皮膚の近くにある血管が広がることで、温かい血液がより多く皮膚表面に運ばれ、そこから熱が逃げやすくなります。こうした反応によって、体の中に熱が溜まり過ぎるのを防いでいます。

体が冷え過ぎたとき

一方、寒い環境では別の仕組みが働きます。体は、持っている熱を逃がさないようにしながら、新たな熱を生み出そうとします。

このような状況では、脳からの指令によって次のような反応が起こることがあります。

  • 血管収縮(血管が狭くなる反応)
  • 筋肉活動によって熱を生み出す震え
  • 鳥肌が立つ反応(進化的に見た温度調節の名残と考えられる反応)

これらの反応が組み合わさることで、外が寒くても、体の内側の温度を保とうとします。

体温調節がうまくいかなくなる原因

体は通常、自動的に体温を調節していますが、ときにはその働きがうまくいかなくなることがあります。こうした状態は、「体温調節機能の低下」などと表現されます。

体温調節に影響を与える要因として、次のようなものが挙げられます。

  • 環境要因:極端に暑い、あるいは極端に寒い環境では、体温のバランスを保つのが難しくなることがあります。
  • 年齢差:子どもや高齢者は、代謝の違いなどから、体温変化への反応が成人と異なることがあります。
  • 神経系の働き:体温調節の中枢は神経系に依存しているため、神経の働きに変化があると、体温への反応も影響が及び可能性があります。
  • ホルモンの影響:ホルモンも体温調節に変化をもたらすことがあります。例えば、特定のホルモンの変動によって、生理的な周期のなかで体温がわずかに上下することがあります。

こうした要因によって体温調節の働きに何らかの影響が出ると、同じ環境にいる周囲の人と比べて、自分だけ異様に強く寒さや暑さを感じるといった違和感として自覚されることがあります。

健康的な体温調節を保つためのポイント

体温調節の多くは自動的に行われていますが、日々の生活習慣のなかで、体の自然なバランスを支えることもできます。例えば次のようなことが挙げられます。

  • できるだけ一定した睡眠リズムを保つ
  • 一日を通してこまめに水分補給をする
  • 代謝を支えるバランスのよい食事をとる
  • 適度な運動を取り入れる
  • 季節や気温に合わせて、適切な服装を心がける

体調管理の一環としては、必要に応じて医薬品を活用することもありますが、近年ではお薬ショップのようなサービスを含め、薬の通販オンラインドラッグストアといった選択肢も広がり、自分に合った方法で健康を支える人も増えています。

まとめ

体温調節は、人間の体に備わっている自動的な機能のなかでも、とくに重要なもののひとつです。体温調節によって、脳、自律神経、体の各組織が連携し、体内の温度は安定して保たれています。

暑いときに汗をかき、寒いときに震えるといった反応は、いずれも意識しなくても自然に起こるものです。こうした仕組みによって、酵素の働きや代謝をはじめとするさまざまな生体機能が、適切な状態で維持されています。

よくある質問

Q1.人間の体における体温調節とは何ですか。

A.体温調節とは、外の環境が変化しても、体の内側の温度を一定に保とうとする、体に備わった自然な仕組みのことです。

Q2.体温調節をつかさどっている脳の部位はどこですか。

A.視床下部が体温調節の中枢として働き、体から送られてくる温度の情報を常に監視しています。

Q3.人はなぜ寒いときに震えるのですか。

A.震えは、筋肉が急速に収縮することで熱を生み出し、体の内側の温度を上げるのを助ける反応です。

Q4.なぜ暑いときに汗をかくのですか。

A.汗が蒸発するとき、皮膚の表面から熱が奪われます。そのため、汗をかくことで体を冷やすことができます。

Q5.体がうまく体温調節できないとどうなりますか。

A.体温調節が十分に働かない場合、周囲の人と同じ環境にいても、異常に強い寒さや暑さを感じることがあります。これは、体の温度に対する反応がうまく機能していない可能性を示しています。

参考文献:

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