腰痛は、少しずつ日常生活の主導権を奪っていきます。座る、立つ、寝るといった基本的な動作さえつらくなってきます。よく知られた痛み止めであるロキソニンから治療を始める人は多く、多くの場合は痛みがやわらぎます。しかし、飲んでも痛みがほとんど変わらず、がっかりしてしまう人も少なくありません。その瞬間、「自分の体の中で一体何が起きているのか」と不安や戸惑いを感じることになります。
薬を飲んでも痛みが続く場合、多くは「想定していた原因」と実際の痛みの原因が違っていることを意味します。この違いを理解することで、適切な治療を選び、不要なつらさを避けることにつながります。ここでは、ロキソニンが腰痛に効かないという悩みがなぜよく起こるのか、慢性痛と神経痛の違い、そして医師の適切な指導のもとで次に取るべき具体的なステップについて説明します。
ロキソニンが腰痛に効かないのはなぜか
ロキソニンは、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)という種類の薬に分類されます。これらの薬は、体の中の炎症を抑えることで作用します。腰痛の原因が、炎症や腫れ、ケガ、急な負荷による筋肉や靱帯の障害である場合、NSAIDsは有効に働くことがあります。しかし、すべての腰痛が炎症から生じているわけではありません。
特に、痛みが数週間から数か月と長引いている場合、問題の主体は筋肉や関節などの組織ではなく「神経」にあることが少なくありません。このようなケースでは、ロキソニンを飲んでも腰痛がよくならない理由が説明できます。痛みの信号が、刺激された神経や傷ついた神経から発せられているときは、炎症だけを抑えても十分とは言えません。そのため、慢性的な症状を抱える人ほど、ロキソニンを飲み続けているのに腰痛が改善しないという経験をしやすくなります。
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炎症の痛みと神経の痛みはどう違うか
正しい治療を選ぶには、「炎症による痛み」と「神経の痛み」の違いを理解することが重要です。炎症が関わる痛みは、「ズキズキする」「押すと痛い」「こわばる」といった感覚として現れ、安静にしているとある程度よくなることがあります。
一方、神経の痛みは性質が異なります。「鋭く刺すような痛み」「焼けるような痛み」「電気が走るような痛み」と表現されることが多く、しびれやピリピリ感を伴うこともあります。この場合は、単純に安静にするだけでなく、神経の痛みに対応した薬物療法や、他の治療法と組み合わせたアプローチが必要になります。
この「炎症の痛み」と「神経の痛み」の違いは、医師が次の一手を決めるうえで重要な手がかりになります。痛みが足まで広がっている、夜間に強くなる、特に大きなきっかけがないのに痛みが続いている、といった場合は、神経痛を疑いやすくなります。このようなケースでロキソニンなどの治療だけに頼っていると、かえって本来必要な治療の開始が遅れてしまう可能性があります。だからこそ、炎症による痛みと神経の痛みの違いを知っておくことが、適切な治療を受けるうえで重要になります。
痛み止めが効かないときの診断
多くの人にとって、痛みを感じたときに最初に思い浮かぶ薬は「痛み止め」です。そのため、「痛み止めを飲んでも効かない時はどうすればよいのか」と悩む人も少なくありません。こうした場合にまず行うべきことは、自己判断で薬を増やすことではなく、医療機関を受診してきちんと診断を受けることです。
診察では、まず問診が行われ、痛みがいつから続いているのか、どの部位が痛むのか、どんな動きで悪化するのかなどが詳しく確認されます。続いて、身体診察によって押して痛む部位や、神経症状の有無などが調べられます。
必要に応じて、レントゲン検査やMRI検査などの画像検査を行うこともあります。これらの検査により、椎間板の問題、脊柱管の狭窄、神経が圧迫されていないかなどを確認することができます。神経痛や長期にわたる疾患が見つかれば、「なぜロキソニンが腰痛に効かなかったのか」という理由がより明確になります。正確な診断が得られれば、単に症状を抑えるだけでなく、「本当の原因」に焦点を当てた治療が行えるようになります。
慢性痛や神経痛に対する腰痛薬の選択肢
NSAIDsが十分に効かない場合、医師は神経の痛みに特化した薬など、別の腰痛薬の選択肢を提案することがあります。これらの薬は、一般的な痛み止めとは作用の仕方が異なります。痛みを「感じにくくする」というよりも、過剰になっている神経の信号を落ち着かせたり、異常な感受性を和らげたりすることを目的としています。
代表的なのは、神経障害性疼痛や慢性痛の管理に用いられる薬です。これらは、医師が一人ひとりの状態を見ながら用量や飲み方を慎重に調整し、経過を確認しながら処方します。また、単独で使うのではなく、リハビリテーションや生活指導などを含む「痛みの総合的なマネジメント」の一部として位置付けられることが多い薬です。
自己判断で量を増減したり、指示なく飲み方を変えたりするのは避ける必要があります。日本の薬機法などのルールでも、安全性と適正使用が重視されており、医師や薬剤師の指示に従うことが重要です。
慢性腰痛への次の一手
診断がついた後の慢性腰痛の治療は、薬だけで完結するものではなく、いくつかの要素を組み合わせた方法になります。具体的には、理学療法による筋力トレーニングやストレッチ、姿勢や動作の改善指導、日常生活の工夫などが挙げられます。これらは、早期の回復を目指すうえで本人が取り組める重要な要素です。
神経ブロックなど、特定の神経をターゲットにした治療が検討されることもありますが、これらは専門医の管理のもとで行われ、必要と判断された場合に限って実施されます。慢性的な痛みに対する長期的な治療では、単に痛みを一時的に「消す」ことよりも、「神経の働き方」そのものを整えていくことが重視されます。
ロキソニンが腰痛に効かないという事実は、「治療が失敗した」という意味ではなく、「次の段階の、より効果的なケアが必要になっている」というサインと捉えることができます。
治療法の選び方
痛み止めは、本来「きちんと組み立てられた治療計画」の一部として使われるべきものです。自己判断で飲み続けたり、長期間にわたって同じ薬を飲み続けたりすることは推奨されません。症状が続く、悪化する、痛みの性質が変わってきた、といった場合には、早めに医師に相談することが重要です。
医師は、利用できる治療の選択肢、それぞれの期待できる効果や限界、副作用の可能性などについて、できるだけわかりやすく説明します。このようなプロセスを踏むことで、日本の医薬品に関するルールにも沿った形で、安全性を優先した治療を行うことができます。
まとめ
もし、ロキソニンを飲み続けているのに腰の痛みがなかなか良くならないと感じているなら、今の状態をきちんと医療者に伝え、原因を改めて見直す時期に来ているのかもしれません。腰痛にはさまざまなタイプがあり、有効な治療は「どのタイプの腰痛なのか」を見極めるところから始まります。
適切な診断と、それに基づいた計画的なケアが行われれば、長期的な痛みであっても、安全かつ責任ある方法で和らげていくことは十分可能です。
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