ADHD(注意欠如・多動性障害)は発達障害の一つであり、日常生活や仕事における行動に影響を与えることがあります。ADHDがあると、日々の予定をこなしたり集中力を保ったりすることが難しくなるため、生活の質や心身の健康を保つ目的で薬物療法が必要になることも少なくありません。
一方で、日本では覚醒剤をはじめとした刺激薬に対する規制が非常に厳しいため、「ADHDの薬は薬局で簡単に買えるのか」「市販薬で代わりになるものはあるのか」といった点について混乱が生じがちです。
この記事では、日本でADHDの薬が市販されているのかどうか、他にどのような選択肢があるのか、そしてADHD薬に関するルールについて整理して解説します。
ADHDの市販薬は日本にある?
日本では、ADHD治療薬として認められた市販薬は存在しません。規制対象となる成分を含む薬は法律で厳しく管理されており、利用できる薬はすべて医師の処方箋が必要な処方薬です。
刺激薬ではないタイプのADHD治療薬であっても、厳しい法律の対象となっており、医師の管理のもとでのみ用いられます。ドラッグストアで自分で選んで購入できる一般用の市販薬としては販売されていません。
日本におけるADHD薬
刺激薬に分類されるADHD治療薬は、覚醒剤取締法上の「覚醒剤」と同様に取り扱われます。このため、これらに該当する薬を日本へ郵送で輸入したり、SNSなどを通じて入手したりすることはできません。
また、海外で発行された処方箋を持っていても、日本国内でその薬を使用することは認められていません。
メチルフェニデートの規制
メチルフェニデートを含む薬(代表例としてコンサータ)は、日本で使用が認められていますが、向精神薬や麻薬に準じた区分で厳しく管理されています。そのため、日本国内の医師による処方箋が必須であり、処方箋なしに市販で購入することはできません。
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なぜコンサータは日本に輸入できないのか
コンサータが自由に日本へ輸入できないのは、有効成分であるメチルフェニデートが日本の薬物規制上、向精神薬・刺激薬として扱われているためです。このため、個人輸入は原則として禁止されています。ただし、処方箋があり、所定の書類が適切に整えられている場合に限り、一定の条件下で輸入が認められる余地はあります。
日本における麻薬関連の規制
日本では、規制対象となる薬物について、いくつかの厳格な法律に基づいて管理しています。主なものとして、麻薬及び向精神薬取締法、覚醒剤取締法、大麻取締法があり、これらの法律により、以下のような区分で管理されています。
- 麻薬(N)
- 向精神薬(P)
- 覚醒剤原料(SRM)
- あへん(O)
- 大麻(C)
これらの物質の輸出入には特別な許可が必要であり、多くのものは、麻薬取締部から事前の承認がない限り、個人による輸入が全面的に禁止されています。
日本で利用可能なADHD治療薬の選択肢
日本国内では、ADHDに関連するいくつかの薬が承認されていますが、いずれも医療機関での診断と処方があって初めて使用できるものです。すべてが市販対象外であり、正式な診断が必須となります。特に刺激薬に分類される薬は、向精神薬として追加の規制・管理が行われています。
承認されているADHD治療薬
日本で処方により使用できる主なADHD治療薬は次の通りです。
- コンサータ(塩酸メチルフェニデート)
- ストラテラ(塩酸アトモキセチン)
- インチュニブ(塩酸グアンファシン)
- ビバンセ(メチルフェニデートメシル酸塩)
処方を受けるまでの流れ
患者はまず、精神科または心療内科の医師を受診し、ADHDの診断を受ける必要があります。
コンサータなど刺激薬に分類される薬を処方する場合は、医師や医療機関の登録制度や特別な認定、乱用防止のためのモニタリングなど、追加の手続きや管理が求められることが多く、実際に処方が開始されるまでに数週間程度かかることもあります。
一方、ストラテラやインチュニブなどの非刺激薬タイプの薬は、比較的長期間分の処方が可能であり、取り扱う医療機関も広めです。
まとめ
日本では、ADHD治療薬を市販薬として入手することはできません。覚醒剤や規制薬物の輸入や使用を厳しく制限する法律があるためです。刺激薬・非刺激薬を問わず、ADHD治療に用いられる薬はすべて医師の処方が必要であり、医療専門職の管理のもとでのみ使用が認められています。
日本における麻薬・向精神薬・覚醒剤関連の法規制が非常に厳格であることから、自己判断で選んで購入できる市販薬という形でADHD治療薬を利用する余地はありません。
よくある質問
1.コンサータは日本で合法ですか?
はい。コンサータは日本で使用が認められていますが、日本国内で認可された医療機関の医師による処方がある場合に限られます。処方箋なしで購入することはできず、メチルフェニデートに対する厳格な規制とモニタリングの対象となっています。
2.なぜコンサータは日本に輸入できないのですか?
コンサータの有効成分であるメチルフェニデートは、日本の薬物規制上、向精神薬または刺激薬として扱われています。そのため、個人による自由な輸入は原則禁止されています。輸入を行うには、事前の承認や関係当局が求める書類の提出など、適切な手続きを踏む必要があります。
3.海外で処方されたADHD薬の処方箋は日本で使えますか?
いいえ。日本では、刺激薬に分類されるADHD治療薬について、海外で発行された処方箋は認められていません。たとえ他国で有効な処方箋を持っていても、日本国内で合法的にADHD薬を使用するには、日本の医師を受診し、日本で発行された処方箋を取得する必要があります。
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参考文献:
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